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第2回 コツコツやってりゃ、いつかは終わる

壁という壁を全て取り払う。
扉も全て取って、箱だけの状態にする。
内装は二色に揃える。
柱を黒に塗る。
壁に珪藻土を塗る。
それが課題。
とりあえず耐震の問題などもあるので、壁を抜いた分、柱を何本か、大工さんに付け
足してもらった。
壁だって、ハンマーで叩けば壊れるものなのだけれど、さすがにこれは力がいるので、
大工さんにお願いした。
そして次のステップからがあたしの出番。
パナウェーブ研究所のような白装束を着て、あたしはペンキを顔に飛ばしていた。
近所を歩いて行く人達が、こわごわと見ては視線を反らす。
そりゃそうだ。
30代のオンナが一人でハシゴにのぼって、家を作り始めたのだから。
宅急便屋さんは、あたしの姿を見て、見てはいけないものを見てしまったように目を
伏せた。
けれど、次第にそれも快感に変わってきた。
最初は、家という場所が、パーツにしか見えていなかったのに、次第に一個の巨大な
制作物として見えるようになってきた。
そうだな、積み木に例えて言えば、積み木一個の形しか最初は見えていなかったのに、
そのうち、積み木全体の色合いやら雰囲気が汲み取れるようになってきた、というか。
すると不思議と、細かいところは気にならなくなってきた。
というか。
家は工作としては巨大だから、人の目線というのは実は5c?の範囲なんて見ていない
のだ。
だから雑でも実は全く気にならなかった。
というかむしろ、雑な方が味が出て雰囲気が良くなるということを知った。
ラッカースプレーを柱や窓枠に塗る作業は、暴走族の落書きと一緒で楽しかった。
壁塗りは、ホイップクリームを塗る作業と同じ。
ふすまに布を張るのなんて、封筒を張る作業ができれば誰でもできる。
どうしていいのかわからなくなって、ノウハウ本を見ようとする度にアドバイスして
くれる友達は言った。
「とにかくやればいいんだよ、やれば」
確かに。布地はわざわざものさしで丁寧に長さを図らなくても、ふすまの大きさに合
わせてざくざく切れば、例え長さが足りなくても引っ張れば布地が伸びた。
扉だって、最初は取るのに苦労したんだけれど、取れなければ思いっきり引っ張れば
いいだけのことだった。
最初は自分が住むためだけのものとして、手作りハウスに挑戦したのだけれど、アド
バイスをくれていた友達のおかげもあって、だんだんお店にしたいなあという気持ち
がむくむくと湧くようになってきた。
やっちゃおうかな、お店。
けど、あんまり先のことを考えるとめげそうになるので、とりあえずステキな箱を作
ることだけを目標にすることにした。
2006年05月17日 12:18| 個別ページ
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