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ヤツ当たり!この馬が買い! - 樋口榮一

第8回 宝塚記念/ディープではチープなのだけれども一点で!

これまで10戦して前で競馬したことのないディープインパクトが逃げたとしたらどうなるのだろうか。
ここを凱旋門賞へのステップと考えた時、追込みなど利かない欧州の馬場を知る天才武豊の胸中に冒険心が芽生えたとしたらおもしろいレースになる。

レース展開をどう読むかは競馬予想の第一段階である。
騎手も展開を考える。
騎手は前日調整ルームで新聞あるいは出馬表を手にした時、まず逃げ馬がどれか、人気の中心になる馬はどこにいるのかといったことをイメージしながら作戦を立てる。
外人騎手だって日本語の競馬新聞が読める。
ケント・デザーモなど4時間も5時間も新聞と睨めっこしていたという。
逃げ馬がいないから逃げてやろう、あるいは先に行く馬が多いから後ろから、などおおまかな戦法をあらかじめ頭に入れておく。

ところが実際には逃げるはずの馬が行かないとか、考えてもいなかった馬が先手を取るというような想定外の事態はよく起こる。
この段階で起こりうるいくつかの事態を想定して、何通りもの展開を考えることのできる騎手が一流、勘がよくて、ペース判断が的確にできる騎手なら何が起ころうが臨機応変に対応できるが、腕のないジョッキーやキャリアの浅いジョッキーだとそうはいかない。
スローペースなのに後方で脚をためたり、ハイペースで抑えが利かなかったり、など馬に有利とはいえないような動かし方をしてしまう。
こういう騎手は、体内時計がないというか、ペース感覚がつかめないから、そのレースの司令塔のようなジョッキーの位置を確認して、相手に合わせて自分の馬の脚質にあったような位置取りをする。
かならずしもその限りではないのだが、たとえば武豊が逃げるか前にいれば、そのレースはスローと読むし、後ろにいればハイペースといったように判断で乗る。
自分でレースを作れないから、よほど状態のいい馬に乗らないかぎりチャンスはない。

かつて関東では岡部幸雄という大きな存在がいて、だれもが岡部を見ながら競馬をしていたが、岡部引退後はごく少数の例外を除いて、自力でレースの組み立てができる頭と感覚をもった騎手がいなくなった。
だから関東の競馬は難しい。
展開を読むということは有力馬に乗った有力騎手の胸中を類推することだ。
これができるなら苦労はしない。
馬の状態が良くなかったりすると、騎手が考えたように馬が動いてくれないことがよくあるからだ。
また同型の逃げ馬が4頭もいて先行争い必至と見られるような競馬が、行ったきりになる。だれだってつぶし合いや共倒れは避けたいので、先行馬どうしで折り合って、読みとはちがった競馬になる。
逃げ馬のいないレースで前に行ったこともない馬が逃げ切る。
あるいは、単騎逃げがわかっているのにそれが許されてしまう。
ダービーのアドマイヤメインの逃げなどはその代表的なもの、フサイチリシャールなど行ける馬が控えたためスローの単騎逃げとなった。
勝てる自信のあるメイショウサムソンはアドマイヤを早目に交わすより、逃がしておいてゴール前交わすほうが、差してくる馬の末脚は封じられると石橋騎手は考えているからアドマイヤは生き残り、よもやダービーで楽な一人旅などあるまいという展開予想はあっさり裏切られてしまう。

いくら展開を読んでもなかなかその通りには競馬してくれない。
競走馬の脚質というのは騎手の意匠でしかない。
生まれたときから逃げ脚質などということはありえないのである。
気がちいさく、馬群に入れられず、逃げるか最後方からという極端な競馬しかできない馬だって、キャリアを積み気性が成長するにつれて、いろいろな競馬に対応できるようになる。
そんなわけだから、展開を考えて馬券勝負などできない。
結果を解く手だてと考えたほうがいい。
状態のよい競走馬、能力上位の競走馬はいかなる展開になっても走る。

【宝塚記念】
 6月25日 15時45分 京都11R 芝2200メートル
2006takarazukakinen.gif

ディープインパクトが逃げる…なんてことはないのだろうか。
まくり、追込みなどは利きづらいロンシャンの馬場を知る武豊が、凱旋門賞前に一度くらい先団で競馬したいと考えてもおかしくないような気がする。
状態さえひどくなければ、どう乗ろうが勝てる相手、そんな点は豊本人がいちばんわかっている。
ドバイのハーツクライのレースを目の当たりにして刺激を受けた後にもかかわらず、春天は先行策を取らずに、坂の上りから仕掛けていくという競馬で答えを出した。
あれなら逃げたほうが楽ではないかという気がした。
強い馬にとって逃げ、先行策は鬼手でもなんでもない。
そんな競馬を見たい気がするのだが、もし逃げたりすると展開がそうとうに変わる。
たぶん予定調和みたいにディープは後方からと考えて前で競馬する馬は苦しくなるだろう。しかしディープの逃げる可能性は皆無ではないと思う。

ごく普通に考えるとシルクフェイマス、バランスオブゲーム、コスモバルク、ダイワメジャー、リンカーンあたりの先導。
タップダンスシチーのような徹底先行はいないので、前半はペースが上がらずスローで3角あたりから出入りは激しくなる。
だれも勝てるとは思って乗りはしないだろうが、もし万が一があるとすれば有馬記念のハーツクライの乗り方。
前々の粘り込みでディープを待つのが最善の策だろう。
ディープの位置がどこだろうが4角では中団より前にいないと競馬にならない。

人気はリンカーンがフルマークの2番手だが、完璧な競馬をしながら春天では完膚なきまでに叩きのめされてしまった。
どう乗ったらいいのか、横山典は頭の痛いことだろう。
何も考えずに前走の競馬をしたとしても2着があるかどうか。
2200メートルに縮まってマラソンランナータイプを積極的に買うこともなかろう。
3着最有力とみる。

むしろ初顔合わせのダイワメジャーに魅力がある。
馬券を買うつもりのなかった安田記念で買わさせられたほどに状態はすこぶるつき。
不得手と思われる左回りで前に行って粘れたのはこの馬だけ、先行馬にはかなり厳しい流れの安田記念だったが辛うじて生き残った。
ロングスパートをかけて切れないがバテないというレースぶりから判断するとマイルよりは中距離が向いていそうな印象、2000メートル以上は3歳秋以降使っていないだけのことでマイラーと評価するのは早計かと思う。
なにせ皐月賞馬である。
直線平坦の高速京都なら粘り込みは十分。
安藤の騎乗停止は痛いが、これまでデムーロ、ルメール、横山典などはテン乗りで動いた。豊にシックスセンスを奪われたうえに壊された四位の奮起どころ。
ディープインパクトが逃げても早目にきても、案ずることはない。
展開無用! 状態がいいから簡単には掃討されないと思う。

シンガポールから凱旋したコスモバルクは検疫で一頓挫あったことがどう影響するか。
それに今度は小姑岡田さん監視下の競馬で、陣営コメントは「ダイワメジャーが逃げてくれないかなぁ」だそうだ。
行く馬がいなけりゃ行くよというくらいに開き直ったほうが好結果が望めそうなのだが、またむりやり抑え込む?

京都得意のアイポッパーか、安田記念は不利でなく仕上げ自体がなってなかったカンパニーが、恵まれての3着候補。

結論 ディープの相手は展開いかんにかかわらず状態最高と思えるダイワメジャー。

馬連  ディープインパクト=ダイワメジャー (9.9倍)
    
3連単 3点
    ディープインパクト→ダイワメジャー→リンカーン (23.4倍)
    ディープインパクト→ダイワメジャー→アイポッパー(80.5倍)
    ディープインパクト→ダイワメジャー→カンパニー(77.2倍)
  
(オッズは土曜12時現在)

2006年06月24日 12:20| 個別ページ

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